茶道箴 現代文訳

心茶会会長 倉澤行洋が現代文に移した茶道箴・茶道小箴を紹介します。

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私たちは今
わび茶の道場である露地草庵に入り
茶道の玄旨に参じ
和敬清寂の法を修めようとしている
まことに幸せなことだ

私たちは茶道の先達や聖人たちの躅(あと)を慕い

ただの遊びや気ままな楽しみに流れず
好事家になったり驕奢に流れたりせず

流儀や技藝に執着せず

侘数寄の真諦をしっかりわがものとし
心の悟りをひたすらに求め
今が一期に一会の会であることを深く思い
怠ることなく道の修行に励み
事と理とを双び修し

動作は深く静かに
少しの雑念を生ずることなく
事・物・人・境において無念の境に入り
山水・草木・草庵・主客・諸具・法則・規矩を
一挙に投げ打ち

こうして皆がともに
無事・安心・一様の白露地を現成させ
茶の十徳をもって世を饒益する

これが私たちの願いだ

 

茶道小箴

和敬清寂を今正に修し了り
喫茶去して
身も心もからりと澄みわたっている

更に願う
茶道の要諦をいつまでも堅持し
精進して事理円成することを

 

倉澤行洋:「心茶会の創立者久松真一先生(三)―藝術(1)茶―」,心茶55号,4-13,(2015).